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都道府県それぞれに、シンボルツリーやシンボルフラワーといったものがあります。たとえば東京の木はイチョウ、花はソメイヨシノ。北海道はエゾマツが木で、花はハマナスです。そのハマナスは美容成分としても素晴らしく、香りも豊か。今回ご紹介の「ロサ・ルゴサ」はそんなハマナスを主成分に、厳選された天然由来成分を配合したスキンケアブランドです。北海道の小さな町に思いを馳せながら、読み進めていただけたらと思います。
ハマナスの英名は「Japanese Rose」。バラなんです。
6月下旬から7月上旬にかけて海辺に咲いて、北海道の短い夏を告げるフューシャピンクの花。ハマナスはバラ科の植物です。「これがバラ?」と思うかもしれませんが、はい “和の国のバラ”です。古来より日本に自生する原種のひとつです。一見、牡丹のようですが、近づけばトゲもすごくて。香りでもバラだとわかります。最盛期の花園は、まさに香りの楽園です。
花はなぜ香るのか。それは虫たちをおびき出すためです。植物は自分では動くことができないので、何かに助けてもらわなければ受粉がかないません。風も運んではくれますが、蜜をお礼にあげて虫に運んでもらうほうが効率もいいですよね。
もし緊張感をもたらす香りだったら、虫は寄ってきません。だから人も花の香りに癒されるのです。単にうっとりすることは、心身にとても重要なこと。人工的な香りではなく、ぜひナチュラルな香りを日常に。
花の命はわずか1日。花には捨ててしまうのはもったいない成分が。
香りの話を先にしてしまいましたが、ハマナスはスキンケアの面から見てもとても魅力的な植物です。
ビタミンCやタンニンを豊富に含み抗酸化作用はばっちり。昔のアイヌの人たちは花びらを煎じて飲んだり、実を煮込んで体に塗ったりしていたとか。先人の知恵には驚くばかりです。
抗菌作用もあるのでニキビケアにもおすすめできます。ローズ=エイジングケアのイメージがありますが、肌質や年齢を選ばない成分というわけです。
優れた抗菌力によって、キャリーオーバーに頼らない化粧品を作ることができるのもハマナスのなせる技です。キャリーオーバーとは厳密には原料に含まれるものの、微量であることから薬機法(旧薬事法)で表示義務のない添加物のことです。パッと咲いてわずか1日で散ってしまう花ですが、私から見たら散った花もお宝です。
Profile
株式会社ciokay
代表取締役社長
森 健太(もり けんた)さん
1994年、三重県亀山市生まれ。 2016年地域おこし協力隊として浦幌町へ移住。 ハマナスを使った商品開発や高校生向けの 職業体験事業など、地域の活性化に 取り組んでいます。
地元の中学生たちのアイデアから生まれた「ロサ・ルゴサ」
さてさて、そろそろ「ロサ・ルゴサ」のご紹介を。作っているのは北海道十勝郡浦幌町にある株式会社ciokay(チオカイ)。写真は代表の森 健太さんです。
森さんは大学生の時にインターンで浦幌町を訪れたのがきっかけで、卒業後(2016年)すぐに三重から移住。地域おこし協力隊の任期中に会社を設立して、地元のお母さんたちを巻き込んで「ロサ・ルゴサ」の開発に力を注いできた人です。
森さんは今まだ27歳。ハマナスをひとつの産業にして、子どもたちの未来につながる町をつくるべく頑張っています。
「ハマナスは北海道の花ですが、浦幌町の町花でもあるんです。昭和60年に町民からの一般公募によって選ばれたそうなのですが、今選ぶとしてもハマナスが選ばれると思います。それくらい浦幌の人には身近で、しかも自生している花。なかなか産業用として栽培するには至りませんでした。でも、地元には中学生たちが行なう地域活性化案発表会というのがあって、ハマナスcafeなど以前からハマナスをテーマにしたプレゼンが多かった。オーガニックコスメのアイデアもそこから生まれていったという文脈です」(森)
自然由来100%。完全無農薬・無添加で作っています。
森さんが言うように、6月下旬から7月上旬の浦幌町はハマナス、ハマナス、ハマナスです。人の数より花の数。
「人口4500人ですからね。でも関わってくれている町の人たちのパワーはすごいですよ。「ロサ・ルゴサ」のハマナスは、まちなか農園と呼ばれている畑で栽培しているのですが、草取りも花摘みも手作業。子どもたちも手伝ってくれます。ちなみに自然農法なので、水と肥料はあげません。それでも僕の手のひらほどの大輪が次から次へと咲きます。ただ、観賞用の花を作っているわけではありませんので、商品ができるまでの意見は容赦なかったです。それもみなさんの思いが熱かったから。そのおかげで人工の香料や着色料は一切使わず、厳選された天然由来成分のみの配合で、本当に納得のいく化粧品を作ることができました」(森)
澄んだ空気に触れさせながらじっくり乾燥。そして抽出。
これが水蒸気蒸留でハマナスの花びらから抽出したフローラルウォーターです。海岸の砂地に根を張り、風や紫外線の強いところに咲くということは、それだけハマナスが乾燥や紫外線に強いことを意味しますが、水に溶ける成分は全部この花水の中に。そして「ロサ・ルゴサ」は花水が水の代わりです。成分表示には「水」の一文字がどこにも書かれていません。1滴も使っていないからです。
また、浦幌町の澄んだ空気に触れさせながら、じっくり乾燥させるので花びらの中には香りもしっかり残ります。ちなみにハマナスの香りはダマスクローズよりも優しく柔らか。どことなく日本的です。女性ホルモンのバランスに作用したり、肌や髪に艶をもたらしたり。香りをまとうだけ美しくなれることはデータでも明らかです。
浦幌町内の廃校を活用して、蒸留施設を作りました。
ハマナス花水とハマナス花エキスの抽出は、廃校内に作った蒸留施設で行なっている森さんたち。将来的には化粧品工場も建設して一貫体制を整えていく方向だそうですが、製造は、最新設備の整った国産オーガニック化粧品を専門で扱うアルデバラン社と協業で行なっています。ハマナスのほかに使われている原料も、すべて国産です。
アルデバラン社の工場FACTは唐津の「ジャパン・コスメティックセンター(JCC)」にあります。JCCは地域の特性を活かした質の良い製品を産出している、一大コスメティックバレー。美と健康をテーマにしたイベントもあるので、佐賀のサロンの方など機会があったら訪れてみてくださいね。
ラインナップは5種。一番人気は「ハンドクリーム」。
デビューから4年。ラインナップは石けん、化粧水、美容液、乳液、ハンドクリームの5つです。界面活性剤も、合成ではなく天然由来。使い心地はさっぱりで、あと肌はしっとり。アイテムを重ねていくたびに、潤いが充実していきます。
そしてラベルを見てください。アイテムごとに違うんですけれど、どれも町内の写生会で子どもたちが描いたハマナスの絵をデザインしたものです。こういう発想もいいなぁと思います。「ラベルを統一しなければならない」なんていう決まりはありませんから。とにかく可愛いです。
「ありがとうございます。日本原種のバラであるハマナスならではの優しくみずみずしい香りや、生産者だからこそできる、贅沢な主原料の配合はひとつの魅力と考えています。目下、一番のヒット商品はハンドクリームで、ギフトにしてくださる方も多くて嬉しい限りです。今後は実も活かして、国産ローズヒップを使った商品開発も行なっていきたいと思っています。そのときはまた子どもたちに絵を描いてもらわないと。うちのデザイナーは、子どもたちです」(森)
海岸の砂地に群生するハマナスは、北海道の夏の風物詩。
いかがでしたでしょうか。遠い昔から海岸線に沿って自生で遺伝子を残してきた浦幌のハマナス。そのハマナスによって皆様のエブリィが豊かになり、浦幌町の子どもたちの未来も豊かになりますように。香りの良いハンドクリームは肘のあたりまでつけるのもおすすめですよ。腕の動きに合わせてふわっと香りが広がります。 「僕からも、ぜひその香りに癒されていただければ嬉しいです!べたつきを抑え、成分もしっかり馴染んでいきますので」(森)
2021.05 (文/野村始子 写真提供/株式会社ciokay、吉川千明)
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