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「和の国エブリィ。」の連載も3年が経ちました。4年目に入るにあたり、スズショウ・アンナさんより「そろそろFlor(フロル)を紹介しませんか」というお話をいただきました。フロルは私が監修し、企画から処方、原料選び、製造まで携わっているブランドです。今回は番外編として私が取材を受けて、フロルをご紹介させていただきます。
アイテムは化粧水とクリーム。肌のコンディションをさらに上げていきたい方はもちろんですが、今まで使っていたものが肌に合わなくなってしまっている方や、肌が弱くて使える化粧品が見つからない方、肌老化を感じ始めている方などに、一度お試しいただきたい2品です。
フロルも発売から早4年ですね。 吉川さんは「知識が半端なく、長いキャリアを持ちながら、 自分の化粧品は作らない」人として知られていたので、 美容業界の人の中には驚いた方も多かったかと。
吉川:
ずっと作らずに来たのは、私なりの信念があって。長く美容の仕事に携わって、化粧品のコンサルティングやイベントのプロデュースをたくさんやってきて。つまり私は、お金をいただいてお世話をする人。そんな私が自分のものを作ったら。人間、自分が作ったものが可愛くないわけありません。そうしたら公平に仕事ができなくなってしまうかもしれない。「人道的にもそういうことはしたくない」とずっと思ってきました。
そんな吉川さんがなぜ?
吉川:
キャリアも30年を超えて、引き出しいっぱいに知識もある。けれど歳は取っていく。「やれることを今やっておかないと、いつやるんだ。」という心境になり。そんな中、思い切ってある方に相談しました。「作り手の息づかいが感じる化粧品をつくりたいのです。受けてくださいませんか。」と。「一緒にやりましょう!」とお返事をいただきスタートしました。今は、一人でブランドを育てていますが、あの時の彼女の受け入れがあったからこそ、フロルが生まれました。2020年9月、世の中はコロナで緊急事態宣言が発令され自粛ムードの真っ只中。お披露目はテレビショッピングでした。
テレビショッピング!?初耳です。
吉川:
出たのは1回だけ(笑)。テレビで語れることが本当に制限されていますから。 フロルの実力を支えているのは医薬的にも有用な成分を豊富に含む「カレンドラ」なのですが、植物成分は複合的にどんなにいい成分が入っていても、「カレンドラ配合」としか言えません。ヨーロッパのように植物療法の歴史が長く、薬や化粧品に植物原料を使うことが身近なら、わざわざ説明しなくても通じますが、日本には西洋ハーブの歴史がありません。喋れなければ、素晴らしさを知る由もなしですから。
パッケージに書かれている成分表示も 「トウキンセンカ花エキス」ですものね。
吉川:
トウキンセンカはカレンドラの和名。ただ、テレビショッピングは良い経験になりました。フロルの方向性が見えました。肌悩みを抱える人々に寄り添って、ゆっくり説明しながらブランドを育てて行こうと。
↑メディシナルハーブとして世界的に有名なカレンドラ。古代エジプトの時代から肌荒れ防止や敏感肌のケアに使われてきました。主な効能は抗酸化、抗炎症、切り傷・擦り傷・やけどなどの創傷治癒、ニキビ、日焼けの鎮静、抗菌、抗ウイルス、血行促進など。再生力がすごく、畑は花を摘んでも2日後にはまた一面オレンジ色に。摘んでも摘んでも蕾が湧いて出てきます。
フロルについて、詳しくご紹介いただけたらと思います。
吉川:
ブランド名の「Flor(フロル)」はスペイン語で「花」と言う意味。主役の花であるカレンドラのイメージからオレンジ色のボトルに充填してきましたが、2024年5月から化粧水を透明ボトルに変更しました。化粧水の白色をしっかり表現したくて。処方はそのままです。自画自賛で恐縮ですが、中身は変える必要がないんです。
↑ハマナスの蒸留水にホホバ種子油が溶けているため白色をしている「Flor ハイドレーティングローション」。ホホバ種子油は正確に言うと、油というより油状のワックス、蝋なのです。ワックスエステルといって私たちの体の表面にもある保護成分。このホホバ種子油を少し配合することで、肌が敏感で化粧水すらチクチクと染みるという人にも気持ちよくお使いいただけます。
処方も吉川さんがなさったんですよね。
吉川:
30年も植物成分に関わってきたので、処方を考えることはそんなに難しいことではなくて。ただ、試作品は、ピンとこない部分がありました。力強さが足りないというか。その部分を解決してくれたのがカレンドラでした。2019年に偶然にも竹脇献さんに出会い、カレンドラを配合できたことで、フロルは唯一無二の化粧品になりました。
竹脇献さんのカレンドラは、 「和の国エブリィ。vol.8」でも ご紹介させていただいていますね。
吉川:
そこでも書きましたが、私の事務所を訪ねてくれたのが竹脇さんとの出会いでした。ヨーロッパやオーストラリアの高地に咲くカレンドラ。それを日本で、しかもバイオダイナミック農法で育てている竹脇さん。今や「ヨーロッパのメディシナルハーブにひけを取らない」と海外から注目の栽培家です。自然の力と植物の力を信じきって育てている竹脇さんのカレンドラは栽培量こそ少ないけれど、質は、世界トップレベルと言えます。
ぜひvol.8 も読んでみてくださいね。バイオダイナミック農法についても触れていますので。(画像をクリックするとvol.8へ飛びます)
吉川:
ただ私は「竹脇さんのカレンドラをフロルに入れたい」と言い出せずにいました。農園を訪ねて目の当たりにしたカレンドラが素晴らしすぎて。竹脇さんの人柄が良すぎて。しかも竹脇さん自身もカレンドラで化粧品を作ろうとしていました。人が大事にしているものに、手をつけられない思いがありました。
その正義感、吉川さんらしいですね。 だけどカレンドラは入れたい。
吉川:
だいぶ葛藤していました。悶々とする私を見て、私のプロジェクトを受けてくださった先の彼女が、「吉川さんが本当に入れたいものは何ですか」と聞いてきました。実はという話をしたら、「竹脇さんのところに行って頼みましょう」と。恐る恐る聞く私に、竹脇さんは「ぜひ使ってください。吉川さんだったらいいですよ」と言ってくれました。心のモヤモヤが晴れて、フロルの軸が決まった瞬間でした。すごく遠慮したけれど、竹脇さんのカレンドラをもっと宣伝して、畑でたくさん作れるようにしていくことで恩返しをしたいと今は思っています。
吉川さんがそれほどまでに カレンドラに惹かれる理由は何ですか。
吉川:
とにかく「効果」です。世界的に発表されているデータもたくさんあり、癒しの成分で炎症を抑えることもできるし、真夏の紫外線に負けないで咲く強い花で、紫外線に対抗する働きもあって。それらの根底となるのが、カレンドラの花びらの色を作っているカロチノイドです。
プロビタミンAといい、ビタミンAに変わる成分ですが、ビタミンAには角質層を整える働き、ターンオーバーを正常にする働き、ニキビ跡をきれいにする働き、しわを伸ばす働きがあります。カレンドラの万能っぷりに惹かれていました。
しかも竹脇さんは、バイオダイナミック農法で育てていたという。
吉川:
バイオダイナミック農法は有機栽培ですが、一般的な有機農法とは異なります。異なるというより飛び越えている、まさにダイナミックなのです。畑の中に宇宙を再現しているような感じで、地球と天体の動きなども取り込んで育てます。科学的にも立証されています。サスティナブルで言えば、畑に化学物質を運びこまないし、運び出さないし、永遠にその中で循環し続ける。虫を殺したりもしません。殺すより、調和をもってみんなで暮らしてもらう。多様性を大事にする、すごく幸せな農法です。
吉川さん=植物美容のイメージですが、 フロルは自然由来の機能成分も配合していますよね。
吉川:
世の中には化粧品が溢れています。そんななかで「やっぱり吉川さんだ」と言ってもらえる、価値のあるものを作るために、効果に優れた自然由来の原料も入れました。エクトインもそのひとつです。フロルがいい化粧品になったのは、植物と自然由来の成分がうまく合致しているところにもあると思います。
吉川:
あとは便利なものを作ろうと思いました。気持ち良く使えて、効果実感があって、あれこれ買わなくても済むもの。
それで2アイテムしかないのですか。
吉川:
そうです。実際、フロルは便利だからという理由で買ってくれている人がたくさんいます。お子さんが小さい方は、お風呂上がりに化粧水を顔にもボディにも、なんなら髪にも吹きかけてください。目元の拭き取りや、拭き取りローションとしても使えます。
そして“究極の便利”と言えるのが、肌が揺らいでいる時に使えることです。肌の状態は季節によっても変わるし、女の人は女性ホルモンの波があるから生理前は荒れやすくなったり、更年期の始まりにすごく揺らいだり、更年期の終わりに乾燥がひどくなったり。そういう変化の時にこそ出番です。ホルモンバランスを整えるハマナスのフローラルウォーターもたっぷり入っています。
↑写真左が化粧水、右がクリーム。化粧水にはカレンドラをアルコールに漬けて作るチンキ(濃縮液)を。クリームはカレンドラのアブラ漬けを配合。化粧水は髪の毛に使えば寝ぐせ直しやツヤ出しに。クリームは乳液、クリーム、美容液、アイクリーム、化粧下地の1本で5役。
ローションは夏のボディスプレーにも使えそうですね。香りもいいし。
吉川:
抗菌作用に優れているのでぜひ。汗の匂いが気になる人は一日気持ち良く過ごせますよ。香り付けにはべチバーとユズと野バラを使いました。なかでも要はベチバー。お茶で有名な福岡県八女産のジャパニーズベチバーの根っこの芳香蒸留水が入っています。この八女産のベチバーの香りの優美さは、私がこれまで出会った中で別格です。安心感と幸福感を味わっていただきたいです。
塩の湖に生きる微生物とか、根っこの蒸留水とかフロルは細かいところに仕掛けがありますね。
吉川:
鮮度の高い素材を使うこと、生産現場を自分の目で確かめることも大切です。原料調達の際には、できる限り私が買いに行って、一番いい状態で工場に送っています。6月末には北海道に行きたいと思っています。フローラルウォーターとして配合しているハマナスの花が咲くので。フレッシュな蒸留水を使いたいから。
吉川:
長々と私のフロル愛にお付き合いいただきましたが、化粧品としてはびっくりするほどいいものができたと思っています。一方で私はハイブランドのコスメに憧れを抱く女性の心理を否定する気はありません。憧れて当然。憧れを抱かない方がつまらない。若い時や調子がいい時はいろいろ使ってみて、だけど、肌が弱っている時やホルモンバランスの影響を感じた時は、フロルを思い出す。そんな循環が生まれたら本望です。何かあったときはフロルが寄り添います。
Profile
美容家・オーガニックスペシャリスト
吉川 千明(よしかわ ちあき)
広く深い知識と豊富な経験を生かし、美容、食、漢方、女性医療など、ナチュラルで美しいライフスタイルを様々な角度から提案。ナチュラルビューティーの第一人者として活躍の場はコスメのプロデュース、サロンのコンサルティング、講演など多岐に渡ります。
(2024.05.02 文/野村始子 撮影/廣江雅美、吉川千明)
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