wanokuni every
前半ではアルニカとカレンデュラにフォーカスしてお話をしましたが、後半はそれぞれの花が持つ薬効力をMAXに引き出すバイオダイナミック農法のお話をしたいと思います。あわせてアルニカとカレンデュラのバームをご紹介します。
前半(vol.8-1)の記事はこちら
↑畑で出る雑草や残渣にコンフリー(ハーブ)を混ぜて台形に積んで、好気性菌による発酵で作る堆肥。台形に積むことで表面積が大きくなるので、空気が好きな菌の発酵が活発になるのだそう。それでも2年がかり。
吉川
今回もお伝えしたいことが多くボリューミィになっていますが、最後までお付き合いください。毎日土まみれの竹脇さん。実は元は写真家で、写真を撮るために世界を回っていたのが、今、この場所に居ることに。
竹脇
アメリカのエージェントとの契約で、ヨーロッパの田舎の写真を撮ってほしいという依頼があり、1999年にイギリスの農業地帯に移り住みました。農業の生産地を回って写真を撮っていたんです。都会育ちで、全く知らない世界だったこと。生産者との付き合いの中で彼らの暮らしの豊かさを知ったこと。もともと料理が好きだったこと。この3つがこういうところに関わって生きていけたらいいなと自分を動かしました。ある時、いちばん美味しくてよく買い物に行っていた農園に連絡をしたんです。手伝いたいと。そうしたらいつでもどうぞと言われ、最終的にはメンテナンススタッフとして雇ってもらえることに。シュタイナースクールガーデンというところで、そこで学んだのがバイオダイナミック農法でした。
吉川
シャッターを押していた手が、野菜を育てる手に変わっていった竹脇さん。バイオダイナミック農法はドイツ人のルドルフが考えた農法です。有機栽培ではあるのですが、一般的な有機農法とは異なり、地球と惑星の関係なども取り込んで育てます。実際、科学的にも立証されているのですが、例えば月の満ち欠け。よく「女性は満月の夜に産気づく」といわれますが、月の満ち欠けによって人の体調が変化するように、植物も天体の動きから多くの影響を受けていると考えるのがこの農法です。それにしても、いきなりバイオダイナミック農法ってすごいチャレンジ。
竹脇
他を知らないからそれでやっているのが実情ですけれど、ああいうクオリティを目指さなきゃという思いはあります。
ピンポイントで観察。そして引いた目で感じることが大切。
吉川
僭越ながら私は、竹脇さんの写真家としての経験がものすごく栽培に生かされていると感じています。自然に寄り添うのって、観察がものすごく大切です。一瞬を逃さない観察眼、個性を見極める力、空気を読む力はカメラマンとしての素養が生かされているなあって。
竹脇
農法というやり方だけではどうにもならないことは多いです。見て感じて。観察とトライアルが一番大切なのは確かです。月の引力には海水を動かすほどの力があるわけで、植物も7割が水で、土の中にも水ある。当然月の影響はあると思います。でも一番影響があるのは太陽だから、太陽の運行も頭に入れて目の前に起こっていることとシュタイナーの考えをどう融合させるか。やりがいの部分でもあります。
↑観察して日々の状態を記録する竹脇さん。
色褪せないこの美しさは自然乾燥の賜物。香りも消えない。
吉川
さてさて、花が咲いたら手摘みの作業が待っています。その後は乾燥です。
竹脇
高温の機械で乾燥させた方が早いし楽なのでやってみたけれど、色も匂いも全然違いました。自然乾燥だと細胞は生きたままだから。乾燥までは自分でやることにして、乾燥室を作りました。
↑八角形の乾燥小屋の中はスギ板張り。無理強いはせず、花たちのペースで乾いていくのを待ちます。
薬効が凝縮したバーム。ヨーロッパでは一家にひとつの存在。
吉川
乾燥を終えた花は、同じ長野県内の「樹万培」に持ち込まれます。原料の農業生産も手がけている化粧品製造会社です。持ち込まれたアルニカとカレンデュラはここでコメ発酵液やコメ胚芽油、ヒマワリ種子油などで抽出が行われ花エキスになります。そのエキスを希少な日本ミツバチのミツロウでそっと固めたのがバームです。テクスチャーが繊細でうすく伸びて、ベタつきません。バームに重たいイメージを持っている人は驚くと思います。男性にも使ってほしいです。特にアルニカのマッサージバームは筋肉のケアや首、腰、肩の凝りや冷え、痛みに有効なのでサロンワークの味方になります。
皮膚トラブルにお悩みの方には、カレンデュラのスキンケアバームがおすすめです。「皮膚のガードマン」とも呼ばれるカレレンデュラは、傷ついた皮膚や粘膜、血管の修復・保護を得意とします。お客様のシャンプーをした後の手指にもささっと。浸透が早いので気軽に使えます。今の時期は日焼け肌の鎮静にも使えますし、ちょっとした傷も擦り込んでおけば治りが早くなりますよ。敏感肌や小さなお子さんもどうぞ。
オープンガーデンなどイベントも開催。
今回は、「植物の素晴らしさを凝縮し、人間の持つ力を活かし自然と調和しながら化粧品原料をつくることでひいては街の活性につなげたい」という思いで頑張っている、菅平高原薬用植物栽培局のハイランドレメディーズをご紹介しました。花が咲く6月、7月にはガーデンを解放したイベントなどもされています。2024年の情報を添付しましたので、ご興味がある方はご参加くださいませ。
【お問い合わせ先】Email organic_photo@hotmail.co.jp
左/ハイランドレメディーズ アルニカマッサージバーム25ml ¥4,620(税込) アルニカは16世紀頃からアルプスの登山者が打撲や捻挫、筋肉疲労をケアするために使ってきた伝統的な成分。美容師さんはハサミの使い過ぎによる手首の疲れにも使ってみてほしいアイテムです。
右/ハイランドレメディーズ カレンデュラスキンケアバーム25ml ¥4,620(税込) フェイスクリームの代わりはもちろん、化粧下地にも。フランキンセンスとヤロウ精油の香りが心地よく、ハンドケア、リップケア、ボディケアにも使えます。「これ1つあれば」的なアイテムです。
2022.6.20(撮影・文/野村始子 写真提供/竹脇献・村尾昌美)
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